-地球防衛隊沖ノ鳥島支部長-

Episode 4

 

 「ビッグハート」は母に手紙を書いていた。
 「拝啓、おふくろ様。最近台風の強さが増してテントがよく飛ばされます。いちいち巨大化して取りに行くのが面倒です。この間は床上浸水して調理器具がすべてダメになりました。北京ダックがしばらく食べれないのが非常に残念です。怪獣より台風の方が怖いです。新しい技を覚えて今度やっつけようかと思います。
 さて、電子機器等が塩にやられ、つまらない毎日を送っていましたが、ずっと前に親しい友人ができました。白と黒の模様をしたイルカのような奴です。「キュー」ってなくので「キュピー」と名づけました。頭のいい彼は私の言うことがわかるようです。結構暴れん坊でハイジャンプしたり水をかけてきたりします。島近くで暴れられると料理長が流されるので遠くで遊ぶよう躾しました。あとはキャッチボールをして遊びます。彼が持ってきたボール(岩)を投げ合います。彼は仕事の手伝いもしてくれます。怪獣が現れたら噛み付いたり体当たりして怪獣を怯ませてくれます。こっちは必殺技かますだけなのでかなり楽です。ただ問題なのは彼の食事量です。クジラ並みに食べるので漁師の苦情がきます。でもそこの話は本部長がうまくやっているみたいで、本部長には感謝してます。あ、言い忘れていましたが彼の全長は巨大化した私程あります。だから遊ぶときはいつも巨大化してます。
 ひとつ言いたいのは、親父がリストラされ実家近くの郵便局に勤めだしたからって、手紙でやり取りすることねぇだろってこと。おふくろ携帯電話を女子高生以上に使いこなしているだろ! こっちの劣悪な環境を考えてくれ。塩風強いし、「キュピー」がじゃれてきたら紙が即駄目になるんだよ! だいたい「塩水がかかっても大丈夫なお手紙セットは防衛隊に売ってあるし給料上がったから買えるだろ」って、なんでおふくろそんなこと知っているんだよ? 俺でも本部に聞いて初めてその存在を知ったよ。そんな高い手紙セットを買うより携帯電話を防水加工の入れ物に入れた方が安上がりなんだよ。実家付近は住宅超密集地で手紙の一つや二つ増えたからって仕事量にあんまり関係ないだろ。親父は本当に郵便配達の仕事してるのか? そんな大事なことはちゃんと調べろよ。今度からはメールでよろしく! じゃあ元気でな」
 この手紙を出した後、本部長から「親御さんを大事にしなさい」と怒られた「ビッグハート」だった。

 

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