-電動力部隊-

Episode 4

 

 怪獣の出現回数が減り、バイトに費やす時間が多くなった。隊の予算や給料も上がり、「シャインエコアース」改造の予算が立った。開発部が開発した威力可変型レーザーを両肩に搭載。また、バイトで十分な体力をつけてきた隊員達だが、特殊攻撃時に必要な電力を一々自転車で供給してては遅いので、超大型のバッテリーを背中に搭載した。両腕に「エレクトリックハンド」用のバッテリーを搭載。各指に小型レールガンを装備し、近接して撃てばある程度の装甲でも撃ち抜くことが可能となった。全体の装甲強化と自転車電力供給率向上も忘れてはならない。
 怪獣が出現。海の防衛隊の情報によると、今回の怪獣は近距離攻撃しかできないらしい。しかし、皮膚が非常に固いとのこと。海の防衛隊の通常攻撃では全くといっていいほど通用しない。残るは「シャインエコアース」の特殊攻撃しかない。
 怪獣が上陸。怪獣は怒り気味だ。よく見ると、わき腹から怪獣の血らしきものが流れている。ただ、この傷は単なる切り傷ではなく獣の歯型のように見える。その大きな歯型はおそらく別の巨大怪獣のものであるだろう。海の防衛隊からはその傷についての報告はなかったので、そんなに遠くない海で噛まれたのであろう。
 ここを狙えば怪獣を倒せるだろう。隊員たちはそう思い、日ごろのトレーニングで鍛え上げた脚力で自転車をこぐ。息もピッタシで、以前とは比べ物にならないぐらいの走行が可能となった。この機動力を生かして一気に「エレクトリックハンド」を弱点である噛み跡に叩き込むことに決めた。怪獣の懐に入り、「エレクトリックハンド」をお見舞いしようとしたそのとき、怪獣のパンチがすぐ目の前に! とっさにガードをするものの、あまりの威力に「シャインエコアース」は大きく吹き飛んだ。パンチを食らった腕の外壁の損傷率90%。次に「エレクトリックハンド」を打ち込めば腕は使い物にならなくなるだろう。
 残すはレーザーとレールガン。レールガンも近接しなければ効果がない。ダメージを受けた「シャインエコアース」では先ほどと同じ結果になるはずだ。無駄撃ちのできないレーザーもどれほどの攻撃力があるかわからない。だが、もうこれしかない。技術部からとめられていたが、隊長は100%の威力で発射することを決めた。隊長は100%が大好きだ。
 ふと、怪獣の口元が赤く光る。「まさか!」と思ったとき、怪獣が火の球を放った。ガードをするも溶けていく装甲。「火炎球か!」と隊長が驚きとともに叫んだ中、ツッコミたくてしかたない隊員たち。怪獣の疲労度から「火炎球」はあと一発しか放てないだろう。
 すぐに体勢を整えようとするもダメージで各部の電力供給がうまくいかない。怪獣の口が再び赤くなっていく。どちらか先に攻撃をしたほうが勝つ状況だった。「ここで死ぬわけにはいかない!」と最後の力を振り絞り自転車をこぐ隊員たち。怪獣の口が開くと同時に隊長の「ってー!」の掛け声。一瞬周囲が暗くなるほどの閃光が見えた後、光の中から現れたのは上半身がない怪獣の姿だった。
  電動力部隊:「(;゚Д゚)ポカーン」
 被害も少なく、見事に勝利した電動力部隊。しかし、「強い光に驚いて子供が泣いた」という苦情2件。「シャインエコアース」によりつかなくなった猫2匹。余った電力0W。

 

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